我々が考える、研究の第一歩はまず体験することです。現場を体験することで、農業の魅力や課題を実感し、デザインの方向性を見出すことができると考えています。
我々はこれまで3次元計測を研究の手法として利用してきました。以前は、主に3次元計測は深度カメラ(3次元カメラとも呼ばれる)を用いて計測していましたが、最近ではスマートフォンやタブレットに搭載されたカメラで簡単に3次元計測ができるようになり、いよいよ、農業現場でも3次元計測を活用する時代がやってきたといえます。
一方で、3次元計測は手軽になってきたものの、3次元計測データをどのように解析するか、どのように活用するかはまだまだ研究が必要です。特に植物や動物といった生物は、工業製品と異なり、形状が複雑で、環境に反応して動き、また生育・成長過程によって形状が変化するため、3次元計測データの解析は容易ではありません。逆に、これらの動きや、生育・成長に伴う形態変化を適切に解析することができれば、対象を見ただけで対象の状態(生育・成長の良し悪し)を推定できる熟練した生産者の"眼"に近づくことができるかもしれません。
このような3次元解析が可能になった暁には、植物や動物の生育・成長過程にともなう3次元形状の変化を、環境条件を加味しながら、シミュレーションすることが可能になり、生産者の狙い通りに作業するための有益な情報を提供することが可能になるかもしれません。
そのような野望を抱きつつ、我々は農学部の他研究室や近隣の農業関連企業と共同して下記の研究を進めています。